はじまり

外車で迎えに来る女性が仕事ついでに、難パト中です。
車のナンバーと勤務先を知っているので、店舗の駐車場を捜索することになりました。

昨年夏、難波さんに気づいた時に、私はとにかく気になりました。
それが難波覗いのはじまりでした。

店に行っても空振りのこともあり、多忙だったので、
偶然の確率を高めるにはどうしたらいいのか検討しました。

注目したのが、駐車場でした。
結構遅くまで営業しているので、ラストであれば公共交通機関はなくなります。

当時の私は、大学院生になったのだから、今までのようにやみくもに気を揉む恋にはしたくない
と気合が入っていました。

駐車場に頻繁にある車と中で働いている人のデータを照らし合わせれば、
難波さんの車を特定できると考えました。
ネット検索の結果、毎日難波さん覗いをするのはいい印象にならない可能性があると判断しました。

駐車場は最大で30台くらい収容可能で、1週間かからないくらいで特定できました。

中に入って難波さんがいたときにある車のナンバーと中に入って、
難波さんがいないときにない車のナンバーで割り出しました。

これで遭遇のタイミング・ロスを少なくできました。
ただ、これだけで完璧ではありませんでした。
難波さんはアルバイトではありませんでした。
従業員しか入れない場所にいることも多く、車があっても空振りという回もありました。

難波さんのお店は積極的に接客をしないタイプでした。
話しかけにくい環境で、ネットに出ているようなアプローチ方法で上手くいくとは考えられませんでした。
毎回、無理に話しかければ、私の好きな書店のような雰囲気ではなくなると思ったことがありました。

もっと話しかけろという周囲の声が大きかったです。
話しかけるの目的は、相手に好意を気づいてもらうというものでした。
それには、互いに気づいているのに、話しかけたら、恥ずかしくなり、
難波さん覗いもできないほど余計に引っ込み思案になる気がしました。

私は乳幼児に詳しい師についていたので、人は言葉がすべてではなく、
行動からのサインが多くあると知ったばかりでした。
これに賭けてみようとどこかで決めたように思います。